京都の通訳ガイドEriの小話

”大切な人を大切な場所へ”をモットーに地元京都で通訳案内士をやっています。ツアーで出会った愛すべきお客様達とのエピソードや、改めて感じた京都、日本の魅力を綴っています。#通訳ガイド#ブログ

トイレに行きたいのは彼女だ!

初めて1人でお客様をご案内した時のことです。しかも京都ではなく東京パートの担当、、。ガイドとしては勿論、英語力も東京にも自信がなく、その日に向けて、何度も何度も下見を重ねました。

道順オッケー、所要時間オッケー、説明内容オッケー、トイレ場所オッケー、休憩場所オッケーなどなど、と自分なりには準備万端で臨みました。

 

そしてお客様。

トルコからのご年配のご夫婦。

その日は浅草の半日観光。

ホテルから電車で浅草までやってきて談笑も弾み良い雰囲気。

地上に出る前に、

(私)これから少し歩きますが先にトイレ行きますか?

(奥様)いいえ、大丈夫よ

(ご主人)君は、トイレが近いんだからいっておけば?

(奥様)だから、いいって言ってるじゃない、行きましょ!

(ご主人)そうだな、君の言う通りだ。行こう。

と、奥様に押され気味で苦笑するご主人と笑いながら 仲見世通りを歩き始め暫くしたころ

(奥様)やっぱり、トイレにいきたいわ。

(私)もう少し歩いたお寺の入り口にありますから、そこではどうですか?

(奥様)いや、今すぐ行きたいわ!

(ご主人)Eri、彼女がトイレに行きたいそうだ、トイレはどこだい?

(私)わかりました、そこのお店で借りれるかもしれないです、聞いてきますね。

と、脇道の喫茶店で尋ねるもトイレだけの使用はできないとのこと、、。

やばい〜!

浅草でトイレに行くなら、構内か本堂前で大丈夫と思っていた私。

このタイミングで、どこにトイレがあるかわからない、、

どーしよー、なんか奥さんもイライラし始めて、それを見て旦那さんもはらはら、ヤキモキ・・。

(奥様)Eri ! トイレはどこよ?

(ご主人)Eri !  トイレに行きたいんだよ!

わかってるってー、ちょっと待ってよー、トイレトイレ・・・

スマホで探す?いやそんな時間は無いし、人に聞くにも多すぎて身動きがあまり取れない、、よしちょっと探しに行ってこよう!

そう思い脇道にそれて足早に歩き始めた私に

(奥様・ご主人)Eri ! あなた、どこいくの!!

2人の焦った、不安げな眼差しに追い詰められ

(私)I'm going to the toilet !!

(私、トイレに行ってきます!!  ←トイレを探してきます、と言いたかった) 

と、口走った私。

(ご主人)NO〜!!!  NOT YOU!! SHE wants to go to the toilet. NOT YOU!!

(何言ってるんだ!君じゃないだろ、彼女だよ、トイレに行きたいのは彼女だ〜!!)

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キャー、ごめん〜、失言〜、間違えたー、めっちゃ怒ってるしー、どーしよー、っていうかどこやねん、トイレ、トイレ・・・とパニックになった私。

その矢先、目の前にまさかの公衆トイレ発見!!

おー!!!、トイレやん〜!! ありがたや〜、神様、仏様、トイレ様!!!

そして何食わぬ顔で

(私)ここがトイレですよ、奥様♪

(奥様)あら、ここね。行ってくるわ。

(ご主人)良かった、良かった。彼女は本当にトイレが近いからね笑 僕はいつも気にしているんだよ。

ご主人と一緒に心底ほっとした私。

その後、すっきりした奥様と一緒にツアー再開をしたのでした。

 

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行きたいと思ったら我慢できなくなるトイレは、

何よりも重要な下見ポイントの1つと心得るべし