京都の通訳ガイドEriの小話

”大切な人を大切な場所へ”をモットーに地元京都で通訳案内士をやっています。ツアーで出会った愛すべきお客様達とのエピソードや、改めて感じた京都、日本の魅力を綴っています。

千手観音様助けて〜

イギリスからのご家族と、東山エリアとぐるっと巡るウォーキングツアー。

まずは、三十三間堂

自分の中の予定では三十三間堂で滞在時間約45分で見積もり。

雨が強かったので、駅からお寺までタクシーで向かう中、三十三間堂の縁起や当時の時代背景など一通りを説明し、いざ本堂へ。

このお寺の見所は、合計千体ある千手観音様。

沢山の菩薩様に圧倒される、、その空間を味わって頂こうとと思っていたので、ガイディングは控え目にと思いながら、、

足を踏み入れずらっと並んだ仏様の横を通り、Wow,,,,,!!  Oh my gosh!!  そうそうこの反応よ、、と思いながら、ゆるりゆるりと歩みを進めて行こうと思った瞬間

奥様:じゃあEri、よろしくね。

私:??

奥様:ほら、ずらっと並んでいる仏像達、1つずつ説明してちょうだい。

私:え? あ、、はい。 えっと、、後ろにずらーっと並んではるのが千手観音菩薩様達で、前列に並んではるのが二十八部衆という守り神たちです。

奥様:で?

私:で、一番右の方、こちらが雷神さんです。

奥様:何で、雷なの?

私:実は左端に風神さんがいらっしゃって、、、

あれ?まさか1体ずつ説明を求められる感じ??

どうしよう、、それぞれそんな詳しくまでは知らないし、、、と

その嫌〜な予感は的中。

奥様:そしてこれは何? あと千手観音って手が沢山あるけど、それぞれ何を手に持ってるの?何でそれを持ってるの?何の意味があるの?それぞれ説明してちょうだい。

私:えっとですね、、、

質問攻めに真っ白になりかけの私。

全部の道具って、そもそも、知らないし、、どうしようか、知りませんと正直にいうのか、いや思い出せるはず、えっと、えっと、、 眼鏡の奥から奥様のするどい眼差しが突き刺さり、絶対に逃してくれない雰囲気、完全に追い詰められ状態、、

色んな道具を使って、出来る限りの、あらゆる方法で民を救おうとする姿を表した千手観音さま。

そうです、千手観音さま、今、あなたの目の前で大ピンチの私を助けてください〜、、、

 

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すると、そこに修学旅行のグループ。

やたら詳しいタクシーの運転手さんが嬉々として子供達に1つずつ丁寧に説明をしているじゃありませんか。

ラッキー!これにくっついていこう!

すかさず運転手さんの近くにさりげなく近寄り、左耳で運転手さんの話をキャッチしながら、右を向いてお客さんに説明をしていく。

運転手さんありがとうー、、と心で感謝しながら、通訳状態でのガイディング。ギリギリセーフの状態(アウトかも・・)でなんとか切り抜けながら、本堂の拝観を終えました。所要時間2時間。。。

聞けば、奥様はイギリスで美術館の学芸員

そりゃ色々詳しく知りたい訳や。

そして奥様からのありがたく厳しいお言葉。

奥様:Eri, 決してあなたを非難するつもりはないのよ。でもあなたはガイドなんだから、もっと知識を持たなきゃいけないわ。1つの事に対して3回掘り下げられても答えられるように、しっかりとね。私はいつもそう意識しているわ。

はい、本当にごもっともです。。

ツアー後、お客様と別れて、久しぶりに自分の至らなさに悔し涙がちょちょぎれ、早速本屋に駆け込み、大量の仏像やら仏教やらの本を買い込んだのは言うまでもありません。 

今思い出すだけでも、胃がキューンと痛くなる時間ですが、お金を頂いてガイドをする、という意識について、”喝”を入れていただいた経験だと今は、奥様に感謝をしているのです。頑張っていくぞー!