京都の通訳ガイドEriの小話

”大切な人を大切な場所へ”をモットーに地元京都で通訳案内士をやっています。ツアーで出会った愛すべきお客様達とのエピソードや、改めて感じた京都、日本の魅力を綴っています。

ガイドであり、インタビュアーである

ガイドの仕事をしていて、大切だなぁと感じるのがバランス感覚だ。

ゲストと地元の人との間

ゲストと旅行会社の間

自分のゲストと他のゲストとの間

など、色々な相手の間で立ち回るので、どちらかに肩入れしすぎると、必ずこじれてくる。

 

もしどれか1つしか優先できない、という究極な状況があれば

私は”地元の人”を選ぶと思う。

なぜなら、地元の人、その人達が紡いできた文化、そして暮らし、提供しているサービス、もっというなら昔の人達の存在があってこそ、その場所が”観光地”として価値を提供できているからだ。

だから、自分のゲストを満足させる事だけに集中するのは、特に周りが見えなくなって危険だ。観光地、そしてそこで暮らす人あってこその観光だ。

 

更にいえば、地元の人こそ主役であり、光をあてたい。

なるべくツアーでは、地元の人と関わる機会を作るようにしている。

大きなお寺、立派な神社そのものも、もちろん大切だが、そこに通っている地元の人に声をかけてみる。ご住職がいたら、声をかけてみる。庭園をみるだけでなく、手入れをしている職人さんに声をかけてみる。観光客用のお店ではなく、地元の人が通う普通の商店街に立ち寄って井戸端会議に加わる  etc。その時には私はインタビュアーとなり、お客さんと地元の人を繋ぐ役割に徹する。

ある時は、学問の神様で有名な神社で甘酒をすすっていたら、近くに日本人の老夫婦が座ったので声をかけてみたところ、孫の合格祈願で祈祷をしてもらったとのこと。実はご主人は建築家と判明し、私のお客様も建築家で、そこから建築談義が始まり、ご自身が設計した自宅の写真を沢山見せてもらい、お客様大満足。

ある時は、足の悪いお客様の為に、車椅子を借りたところ、私がサポートしますよ、と施設のスタッフの方が一緒についてきて下さり、雑談をしていると、実は昔に宮内庁で働いていた方で、お客様もアメリカの政府関係者だったので、もっぱら天皇家の話で盛り上がり、普段聞けない話を聞けたとお客様大満足!

またある時は奈良の骨董品屋で、店先にいたご主人との何気ない立ち話から、すっかり意気投合したお客様の様子を見て、ご主人が良かったら今日の出会いの思い出に、”土鈴”をくれた。(お客様は大喜びだったものの、かなり大きかったので、巡り巡って私が持ち帰る事になって、家で置き場所も無く持て余している事は内緒です)

 

そう思うと、大きな観光資源がなくても

そこに”人”が住んでいる限り、

”地元の人”と”観光客”をうまく、穏やかに繋ぐ、存在がいれば、人との出会いという、新しい化学反応が起きて、素敵な展開になる事が多いなぁと感じる。

 

地元の人と観光客を繋ぐ存在としてのガイド、その神髄を見たのは

ガイド界のレジェンド  JOEさんだ。

5年ほど前ガイドの勉強をしていた頃、JOEさんのwalkig tourに参加して衝撃を受けた。

www.tripadvisor.jp

観光地には行かず、ひたすら商店街や道を歩くだけのツアー。その中で色んなお店にちょこちょこ立ち寄ったり、お店の人と話したり、道行く人に声をかけたり、歩いていて目にする、普通の住居や小さな神社などを見ながら、そこから日本文化、歴史、宗教まで話を展開させていく。何でも無い日常とそこに暮らす人を通じて、日本の事をこれだけ伝える事ができるんだと感動した。

 

そういう意味で、ガイドには道行く人に突撃取材する”行動力”、相手が気持ちよく話してくれるような”インタビュー力”も必要かもしれない !?

 

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いつも立ち寄らせて頂く墨の老舗の素敵なご主人✨